前回の記事では、第一子の育児経験から、育休取得について考えるようになったことをご紹介しました。
育休を取得するにしても、特に男性のみなさんは、育休期間をどのくらい取ればいいか、お悩みの方もいるかと思います。
今回の記事では、第二子の妊娠により育休取得に向けて検討したこと、決断に至った背景などについて、私の体験談をご紹介します。
妻の第二子妊娠判明と育休取得の検討
妻の第二子の妊娠が判明したのは、2017年3月のことです。
第一子誕生の際、育休取得についてあまり話し合わなかった反省もあり、今回は、夫である私の育休取得を前提に、時間をかけて第二子誕生後の夫婦の家事や育児のあり方について話し合いました。
第二子妊娠判明当時、妻は一年間の育休を取得することにしていました。
ここでの最も大きな問題は、夫の私が育休を取得するかどうかです。
私の心の中では、育休取得はほぼ確定的ではありましたが、具体的な話までには至っていなかったこともあり、このタイミングでいま一度、妻との話し合いをすることになりました。
仮に私が育休を取得することになった場合、会社への申請は、安定期を過ぎてからと考えていましたので、話し合う時間は十分にあります。
その話し合いの中で、夫の私が育休を取得しない場合と、育休を取得する場合に必要になる検討事項について、それぞれ次のように洗い出しました。
育休を取得しない場合に必要な検討事項
- 子どもの誕生から成長にじっくり関われる長期休業の機会を逃すことになるが後悔しないか。
- 第二子誕生後の一週間、産婦人科に入院中の妻の代わりに誰が第一子の面倒を見るのか。
- 第二子誕生後、しばらくの間は、妻が生後間もない第二子を連れて第一子の保育園送迎をする可能性も出てくるが問題ないか。
- 妻が産休育休を取得するとはいえ、妻に家事育児を任せっきりでもよいのか。
- 第一子の出産後も大変だったが、2人の子供の面倒をみる事になる今回は更に負担がかかるが大丈夫か。
- 家庭や職場でのストレス耐性やメンタルケアのノウハウはあるか。
- 家族や親族以外の社会資源の知識を有しているか、またそれらを活用できそうか。
育休を取得する場合に必要な検討事項
- 育休取得期間はどのくらいが望ましいか。
- 育休取得申請の際、どのような言い方をすれば、上司や職場のメンバーは納得してくれるか。根回しは必要か。
- 育休取得を反対された場合、どのように対応するか。
- 育休中の世帯収入はどうなるのか。安定した生活を確保できるのか。
- 育休中や育休後の家事育児の分担や頻度はどの程度か。一日の家事育児スケジュールはどのような感じか。
- 育休後、つまり職場復帰後のキャリア人生はどうなるのか。職場で冷遇されないか。キャリアロスにならないか。
- 家庭や職場でのストレス耐性やメンタルケアのノウハウはあるか。
- 家族や親族以外の社会資源の知識を有しているか、またそれらを活用できそうか。
育休取得の決断と育休取得期間
これらを洗い出してみると、私たち家族の中では、育休を取得したほうのメリットが大きいと改めて感じ、育休を取得することに決めました。
期間は6か月です。
育休取得期間を6か月に決めた理由4つ
育休取得期間を6か月に決めた主な理由は、大きく4つあります。
もちろん、子どもの成長に関わりたいという思いが前提での理由となります。
当時の男性育休の社会的状況
理由をご紹介する前に、当時の男性育休の社会的状況をご紹介します。
私が育休を取得した2017年の育児・介護休業法における男性の育児休業期間は、原則として、子どもが生まれたその当日から1歳の誕生日を迎える前日までの1年間でした。
平成27年度(2014年度)雇用均等基本調査によると、同年度の男性の育児休業取得期間は、1か月未満が80%を超え、5日未満が50%を超える結果となっています。
育休取得期間が1か月未満の中には、会社や職場への忖度もある中で、止むを得ない選択をされている方もいらっしゃるのでは、と思っています。
ちなみに、私たちが夫婦が取得を決めた6か月以上取得した人の割合は、こちらの調査ではわずか3%。
社会全体がそのような状況、しかも、当時私が勤務していた職場は男性育休の前例すらない職場でした。
そんな中で、長期育休申請を切り出すのは勇気のいることと感じるかと思いますが、意外と簡単に決心できました。これは、私の性格と、今までの経験の積み重ねにより価値観がはっきりしていたからかもしれません。
家族のこと自分のことを考えると、このレアな選択をしてよかったと今でも思っています。
理由1.夫婦で下の子の育児を十分に行える環境を整えたい
夫の私が育休を取得しなかった第一子誕生時は、妻が約1年間の育休を取得したものの、私の力不足もあり、思った以上に育児が大変でした。
さらに第二子の今回は、当然上の子の育児をしながらとなります。
そのため、夫婦同時育休を取得することにより、万全の態勢で育児に関わりたいと思っていました。
そして、期間は可能であれば1年間取得したいと考えました。
とはいえ、夫婦で1年間にわたり育休を取得すると、収入面にも影響が出てきます。(後述の理由2.の内容です。)
そこで、首もすわりお座りもできるようになってくる生後6か月を一つの目安としました。
お座りができることで、下の子を連れての外出の負担が少なると考えたためです。
妻が上の子の保育園送迎を行う際も、子供乗せ自転車の前後にそれぞれ子供を乗せての移動が可能になります。(子供乗せ自転車は1歳~となっていることが多く、自己責任となりますが…)
それまでは、妻が第二子の育児に集中できるよう、第一子の保育園送迎などは夫の私が担当しようと考えました。
・・・余談ですが、実際にこの第二子中心のフルサポートを行うことによって想定外の出来事が起こりました。
それは、上の子の下の子への嫉妬です。
その時の気づきや対応については、また今後の記事で記載していきたいと思います。
理由2.育休中の収入の減少を回避したい
夫婦で育児休業を取得した場合、基本的には職場からの収入は得られず、その期間中の世帯収入は減少します。
その収入源を補填するのが育児・介護休業法で定められた育児休業給付で、一定の条件を満たせば、雇用保険から育児休業給付金が支給されます。
給付金額は育児休業期間によって定められており、育児休業期間が6か月を超えると、育児休業給付の受給額が下がります。
私が育休を取得した2017年は、下記のようになっていました。
- 育児休業開始から6か月まで 休業開始時賃金日額×支給日数×67%
- 育児休業開始から6か月超 休業開始時賃金日額×支給日数×50%
たとえば、1か月の休業開始時賃金額が30万円の場合、67%だと1か月に約20万円、50%だと15万円となります。
本当は1年間育休を取りたかったところですが、私たちにとって17%の差額は大きかったことから、67%の支給が得られる6か月としました。
理由3.今後のキャリアの方向性を整理したい
育休期間中は、一日の多くが家事や育児の時間に充てられますが、秒単位・分単位で頻繁に発生するわけではないので、ある程度の自由な時間も存在するものと考えました。
育休取得時は大学職員として入試広報関連の部署に在籍していました。
キャリアセンターで約9年、入試広報で約3年勤務、特にキャリア支援においては、自分のやりたいことをある程度成し遂げたこともあり、今後の仕事の領域を広げたいとも考えていました。
そこで、この家事や育児の合間の時間を利用して、私自身の今後のキャリアの方向性を考えることにしました。
もちろん、この問題は私自身だけの問題ではなく、妻や子どもを含めた家族全体の問題でもあります。
そこで、妻とのコミュニケーション機会が多く取れる育児休業中に、今後の方向性について妻とじっくり話し合い、納得のいく形で今後のキャリアライフを歩めたらと考えました。
実は以前に転職した際、私の至らなさにより、以前の記事に記載したように人生最大級の失敗を生んでしまった経験があります。
転職は、収入や勤務地、勤務時間など、家族にも影響のある大きなイベントですので、当然家族間での話し合いが必要です。
・・・なんて、よく偉そうに言えますよね(笑)
いずれにしても、あの頃の失敗経験がここで活かされることになりました。
学習できてよかった。。。
理由4.男性長期育休取得のメリットを職場に啓蒙したい
前例のない中で取得した男性の長期育休。
育休復帰後は、後に続く男性社員がスムーズな育休取得を実現するなど、少しでも働きやすくなる環境をつくるお手伝いができれば、と思いました。
先述の通り、私が育休を取得した2017年は、2022年よりも男性育休取得率がさらに低く、全国的に男性育休取得の啓蒙をはじめたばかりの状況でした。
私がこれまで在籍した職場でも、男性の長期育休取得の例はなく、男性の育休取得に対する理解不足はもとより、有給休暇の取得すら歓迎されるような雰囲気ではなく、ワークライフバランスに対する意識が必ずしも十分とは言えない状況でした。
また、かつて私の多くの知り合いが育休を取りたくても取れず、不本意ながら退職したのを目の当たりにしたことも後押しとなったような気がしています。
そのような環境を改善するためにも、今回の男性育休取得は職場への働き方改革の啓蒙を図るチャンスでもある、と捉えました。
ただ育休を取得するだけでなく、全社員に男性育休の存在や育休取得後のキャリア形成を認知してもらい、当事者の私が育休のモデルを作り、周知することで、後に続く社員の育休&有給取得がスムーズになるのでは、と考えたのです。
そして、少し大袈裟になるかもしれませんが、これをきっかけに、職場全体で働き方に関する意識を見直す機会が増え、従業員のモチベーションアップや異なる価値観の相互受容、ひいては、人事制度の活性化につながればと思いました。
このように様々な想いを胸に育児休業を取得した次第ですが、果たしてどのような結果となったのでしょうか。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
次回に続きます。
なお、本記事を執筆したキャリアリカバーでは、男性育休6か月の経験を持つ国家資格キャリアコンサルタントが、仕事と家庭の両立、育休とキャリア形成、メンタルケアとキャリア形成などでお困りの方を対象としたキャリアカウンセリングをお受けしています。
関心のある方は、「人生が好転、自信がつくキャリアカウンセリング」のホームページもご覧ください。